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zoom RSS 家政婦の日記

<<   作成日時 : 2005/12/19 13:33   >>

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わたしは住み込み家政婦です。
無料でこの家に住まわせていただく代わりに、掃除、洗濯、食事の準備など、家事一切を引き受けています。必要とあれば運転手もいたします。なお、それらに関わる費用は全て持ち出しです。お給料はいただいておりません。

わたしといたしましては、日々、精一杯おのれの義務を遂行しているつもりでございますが、ご主人様は、わたしのような下々の人間には、礼はおろかあいさつさえも不要とお考えのご様子で、お声をかけてくださることは一切ございません。
いくら使用人に対してとはいえ、今時このような扱いはあんまりだと思いまして、涙を流さぬ夜はありません。でも、この職場を捨てたところで、他に何のあてがあるわけでもなく、ただ我慢して日々をやり過ごすしかないことは重々承知しております。

先日、ご主人様の御妹様がご出産あそばされました。この家では、お祝いを用意するのも家政婦の仕事でございますので、祝儀袋を買い求め、新札を用意いたしました。が、御妹思いのご主人様は、それだけでは不十分で更に何か記念のものをと思し召したようで、ネットでいろいろとお探しのご様子です。

使用人に対する日頃の態度とのあまりの格差。
口惜しい思いのやり場に困り、ご主人様がお休みになった後、台所仕事をしながらキッチンバサミと包丁をまな板に思いっきり突き刺してみました。すると、まるで押し売りか強盗でも来たかのような非日常的な光景が出現いたしまして、なにやら心持がすっきりとし、思わず笑みがこぼれました。

台所はそのままにして、私は風呂に入ることにいたしました。灯油高騰のあおりを受けて、当家ではヒーター無しでこの冬を越しておりますので、芯まで冷え切った体をお湯に沈めますと、なんとも心地よく、思わず「極楽、極楽」と呟いてしまいます。先ほどまで、涙を流しながら包丁やハサミをまな板に突き刺していたことがまるでウソのよう。

すると、突然ご主人様が階段を下りてくる音がいたしまして、その後、お手洗いの戸を開けるのが聞こえました。 
「どうしよう、あの台所を見られたら..」
わたしは焦りました。でも、一方では、見られたら見られたでいいじゃないかという投げやりな気持ちも起こります。それに、もしかしたら少しは使用人の心中をお察しいただけるきっかけになるかも..。
いや、それは無理な話でしょう。むしろご主人様のお心がますます頑なになるばかりに相違なく、それはわたしにとっても何の得にもならぬこと。そう判断するやいなや浴槽から飛び出し、体も拭かずに台所に突進し、包丁とハサミを横にして、急いで風呂場に戻りました。

幸い、ご主人様はお腹の調子でも悪いのか、まだお手洗いにこもっていらっしゃいました。
「いやいや、危ないところだった」と湯船の中で安堵しつつ、わたしはこの家にあっていったいどのように生きていきたいのかと、再び自問自答を始めたのでしたが、いつも通り、何も結論は出せませんでした。

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